9.06.2009

蜂は蜂蜜を作るために生きているわけじゃない

昨日の午後、横浜クリエイティブシティ国際会議の分科会「アートイニシアティブの未来を語る-創造界隈事業の総括と展望」で、最後に議論になったことが「アートは、社会的価値を生み出す手段であっていいのか」という論点なんですが、私は、こういう議論のときにいつも思うことがあります。前にも少し書いたことがあったんですが。

蜂は、蜂蜜を作るために生きているわけじゃありません。
けれども、人間は蜂が蜂蜜を作ることを知っているし、蜂が花粉を運ぶから野原に花が咲くことも知っています。蜂のおかげで、人間は少し豊かな暮らしができるし、生態系や生物多様性が維持されています。
蜂は、人間を刺すこともあります。
もし、蜂を害虫だとして殺してしまうと、食卓から蜂蜜が消えて野原には花が咲かなくなります。豊かだった人間の生活は、蜂のおかげだったことを知らないうちに、貧しくなります。
貧しくなった原因は、人間が蜂を殺したことだと気がつくにはおそらく時間も掛かるだろうし、もう一度、蜂が住むような野原に戻すには、殺すのにかかった時間と比べものにならないくらい長い時間と費用がかかると思います。

アートは、社会的価値を生み出すためにあるわけじゃありません。
でも人間は、アートが社会的価値を生み出すことを知っています。
そういうことなんじゃないかなぁと、改めて思いました。

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