6.02.2009

アートと社会と、ミツバチと植物の関係

アートと社会の関係のことを、ミツバチと植物との関係に例えて考えてみました。
ミツバチは、たぶん、花の色とか匂いに引きつけられて、花から花へと飛びまわり、とまっては蜜を集めたりするんでしょう。そうすることで、花粉がミツバチの足とか体に付いて、植物の授粉を助けたりするわけですよね。
勘違いしちゃいけないのは、ミツバチは、「植物の授粉を助けてあげよう」なんてことを、これっぽっちも考えちゃいないことです。たぶん、花の色とか匂いに反応しているだけで、植物のためを思って行動しているわけじゃないだろうと。植物も、「ミツバチさんに蜜を分けてあげましょう」なんてことは、全然考えていなくて、淡々と、太陽を浴びて水を吸って花を咲かせてるわけですよね、きっと。
でも、ミツバチと植物が、同じ環境に同居していることによって、不思議と互恵関係のようなものが生まれて、花が実をつけたり、ミツバチが蜜を集めたりして、他の生物にも恵みを分けてくれたりするわけです。
そこで、アートと社会のことを再び考えてみます。
アーティストが教育や福祉の現場に行ってワークショップをやったりすることが増えました。が、本来的にはアーティストは教育や福祉や地域づくりのために役に立ちたいと思って活動しているわけじゃない。それに社会の方も、アーティストを食べさせるために教育や福祉の現場に呼んでいるわけじゃない。けれども、同じ地域社会の中にアーティスト、子ども、高齢者、障害者、一般市民、行政職員なんかが出会うことで、何らかの創造的な関係が生まれて地域に波及することって、きっとあるはずだと私は思うんですね。
ところが、アーティストに「ほらほら、教育とか福祉とか地域のために仕事すれば、いいことありますよ」なんて言うと、何だかおかしなことになっちゃうわけです。アーティストは、興味深い色や匂いを放っている人とか場所があれば、そこに引き寄せられる「衝動」を持っている。だから、その衝動を理解して、尊重する環境を用意することが大事なんだ、ということに気が付きました。

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