12.15.2010

「子どもとアーティストの出会い」とTOA株式会社

京都を拠点に活動している「子どもとアーティストの出会い」というアートNPOがあります。先日、企業メセナ協議会のメセナアワードで文化庁長官賞を受賞した、TOA株式会社(本社:神戸市)のパートナーとして、企業メセナに取り組んでいます。以下、TOAのニュースリリースから転載させていただきます。
<受賞活動>
受賞対象となったのは、TOAが実施する企業メセナ活動「TOA Meet! Music! Concept」です。これは、音楽と子どもたちの出会いを創出するメセナ活動の総称で、複数の活動を多角的に実施、継続している点をご評価いただきました。なお、活動実施にあたっては、TOAグループ会社である株式会社ジーベック(本社:神戸市、社長:中村定彦)、特定非営利活動法人 子どもとアーティストの出会い(所在地:京都、理事長:井手上春香)と連携し、企画制作を行っています。
<受賞活動名>
音楽による次世代育成の多角的活動 ― TOA Meet! Music! Concept ―
<活動概要>
子どもたちの成長過程に合わせた4つのワークショップと、保護者の意識調査を組み合わせた複合プロジェクト「TOA Meet! Music! Concept」を実施している。小中学生が対象の「TOA Music Workshop」では、音楽に参加する喜びや楽しさを体験するプログラムを実施。中学生が対象の「トライやる・ウィークシリーズ」では、生徒とアーティストが音楽作品を共同創作し、地域住民向けのコンサートを開催。中高生が対象の「神戸JAZZ」では、出演者・スタッフと共にプロと生徒が連携し、コンサートを制作する取り組みを行うなど、多角的な活動を継続している。
先日のメセナアワードの授賞式で、TOAの社会貢献事業を担当しているYさんに話を聞いたら、こんなエピソードを紹介してくれました。
ある学校で、音楽のワークショップをやったあと、子どもたちが感想文を書いてくれたんですけどね、そん中に、障がいがあって今まで字を書いたことのない子がいたんですわ。でも、なんとかして授業に来てくれたアーティストに自分の感想を、みんなと同じように字を書いて伝えたいと思ったみたいで、先生に、自分が書きたいことをまず口で伝えて、それを先生が字に書いて、その子は先生が書いた字の上を、自分の手で鉛筆を持ってなぞって、初めて字を書いたんです。
もうひとつ、Yさんが教えてくれたエピソード。
別の学校で、ダンスのワークショップをやったときに、ダンサーが子どもたちの前で踊っていたら、座ってみていた子どもたちの中から一人だけ立ち上がって、ダンサーと一緒に踊り出した子がいたんです。その状況を座ってみていた子どもたちが、全員めっちゃ驚いてた。なんで驚いたかというと、その踊り出した子はとてもおとなしい子というか、今まで体育の時間はずっと見学するだけで、みんなの前で踊り出すということは考えられないような子やったんです。
Yさんは、いろんなアーティストと学校でワークショップをやっていると、そういう奇跡みたいな瞬間は、いくらでも体験してきたということです。学校で子どもたちと音楽やダンスをやるというと、ミュージシャンやダンサーを育てるつもりかと思われるかもしれんけど、ぜんぜんそんなこと考えてません、何かちょっとだけ変化するだけのことなんです、と。
私は、こういう現場の話に心を揺さぶられてしまうのです。

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