12.16.2010

共感する個人が支えられるようになろう

「TOA Music Workshop」にパートナーとして企画をコーディネートしているNPO法人子どもとアーティストの出会いの理事長、井手上春香さんとメセナフォーラムのときに会いました。おめでとうございます、とお祝いを伝えたあと立ち話をしましたが、こうして事業は評価してくれるんですが、なかなかNPOの運営そのものは厳しくて・・・という話を聞きました。
芸術・文化と社会とが『支え合う』ことが理想なんですが、例えば「子どもとアーティストの出会い」の活動を見ていると、井手上さんが企画したプログラムは、学校や子どもたちにとって何らかの支えとなっている。一方、そのプログラムを実践する井手上さんの支えは、学校や子どもたちからの感謝の気持ちに加えて、経済的側面でTOA株式会社が支えている、という図式になるわけです。
ただ、TOAのプログラムはそういう図式で成立しているのですが、「子どもとアーティストの出会い」はTOAのプログラム以外にもこうした活動をやっているものの、どこのNPOでも同じなんですが、事務局運営に対する経済基盤は非常に厳しい。簡単に言えば、事務局を運営するための人件費が、圧倒的に足りない。井手上さんは「子どもとアーティストの出会い」の事務局を実質的に1人でやっています。切り詰めようがないギリギリの状態、というよりも、相当、井手上さん個人の生活基盤を削っている。
今までは、国や地方公共団体に対して、こうした状況に理解を求めたり、活動に対する経済的支援を求める方向に声を挙げようと考えてきました。それはそれで続けていくにしても、考え方を広げる必要があるなぁと。
政府に期待しすぎないようにしよう。共感する個人が支えられるようになろう。
国家予算に占める文化予算の割合を0.11%から0.5%に、という国会請願の署名は、60万通を越えたそうです。私も署名しました。この署名活動を進めている芸団協さんや関係各位の方々には、本当に敬服します。それで0.5%が実現できればいいなぁと思います。
でも、私は政府に期待しすぎません。なぜかというと政府に「共感する」ことを期待できないから。
もし、60万人が「もっと予算を!」と願うならば、そのうちの1割の6万人が、自分が共感する芸術・文化や、人に共感してほしい芸術・文化に、直接1,000円寄付する。税金で徴収されて、公金として使われるのではなく、共感する相手に、直接寄付する。その方が、世の中を変えそうな気がするんです。
私は「子どもとアーティストの出会い」に共感します。共感を広げたいと思っています。よろしくお願いします。

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