9.08.2010

国民がその居住する地域にかかわらず等しく・・・?

日本版アーツカウンシル(仮称)について、twitterでつぶやいたところ、京都橘大学の小暮先生や札幌室内歌劇場の中津さんにご意見をもらったりして、いろいろ考えています。
『文化芸術の振興に関する基本的な方針(第2次基本方針)』重点事項の進捗状況と今後の課題」という、平成22年2月10日の文化審議会第8期文化政策部会資料を読んでいたら、文化芸術活動の戦略的支援の今後の課題について、PDFデータの7ページに「一方、事業仕分けの結果等を踏まえ、同事業(「芸術創造活動特別推進事業」と「舞台芸術振興の先導モデル推進事業」)については、3年で1/2まで縮減する予定。今後、これまでの支援の効果の検証を行い、その結果や芸術団体等の意見を踏まえ、助成の仕組み、助成率、支援対象経費の範囲を見直すなど、我が国舞台芸術の振興に資する支援方策を検討」とあります。
あるいは、地域文化の振興の今後の課題について9ページに「鑑賞機会等の地域格差は依然と大きく、その格差是正や地域文化振興のため、関連施策の推進により、引き続き対応を図っていく必要がある」「国と地方自治体との役割分担に留意しつつ、地域文化の振興にあたっての国の責務を果たす必要がある」とあります。
「助成の予算が3年で1/2になる」ということを、どう受け止めるべきか。私は、文化予算の維持や拡大よりも、助成の仕組みを改善することを優先すべきだと考えていたんですが、予算が1/2に縮減されたら、仕組みではどうにもならない部分が出てくるでしょう。おそらく最も痛いのは地方だと思うんです。
例えば、公表されている文化庁の芸術創造活動特別推進事業芸術文化振興基金の助成結果で、助成を受けた団体の都道府県別に集計すれば分かりますが、東京都内の団体に交付されている助成金額、助成件数の割合に対して、東京以外の地方の割合が、圧倒的に少なすぎます。人口1人あたりの助成金額を都道府県別に比較しても、東京と東京以外の地方の差は歴然。私は決して、金額や件数自体について東京都内の団体が高いとは思わないです。地方が圧倒的に少なすぎます。ここから助成の予算が1/2になったときに、東京以外の団体の助成はどれくらい残るでしょうか?(英国のアーツカウンシルのウェブサイトで「You can cut us but don’t kill us say the UK’s cultural leaders」という見出し。まさにそんな感じ)
その地域格差は、文化芸術振興基本法の第2条の3「国民がその居住する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備」と、明らかに乖離していると言っていいと思います。むしろ、文化環境の格差を拡大させているという見方もできるんじゃないか、というほどです。
芸術をやりたい人が東京に出ればいいんだ、と考える人もいるかもしれませんが、今まで以上に、芸術をやりたい人が東京に集まって地方からいなくなることが、芸術分野以外の社会的な問題として理解されないとなぁ。

0 件のコメント:

archive