先週末、横浜の若葉町界隈で行われている「横浜下町パラダイスまつり」に家族で行ってきました。若葉町は多国籍な住民が多く住んでいるまちで、映画館「ジャック&ベティ」とアートNPOの「アートラボ・オーバ」さんが企画しています。
企画の一つに「多文化共生映画祭」というプログラムがあって、台湾の少数部族出身の若者たちを日本人の若木信吾監督が追ったドキュメンタリー映画「トーテム Song for home」が、とても面白かったです。異なる少数部族出身の若者たち6人が、大都市の台北でロックバンドをやっていて、自分たちのアイデンティティである民謡や故郷への思いをロックにのせて表現しています。
最も印象に残ったのは、6人がインタビューに答える場面で、「よく聴いているアーティストは?」というような質問で、バンドの中心的なメンバーが、少数部族の民謡の伝説的な歌手の「郭英男」と答えて、他のメンバーが爆笑するシーンがありました。他のメンバーの答えは、「Mr. BIG」だったり「レッチリ」だったりしました。
このシーン、私は「郭英男」で笑う気持ちも分かるけど、どちらかというと「Mr. BIG」や「レッチリ」と答える方が、笑えるような気がしました。でも考えてみたら日本人の若者で、好きなアーティストを聞かれて「三橋美智也」とか答えたら、ほかの若者から笑われるだろうし、「Mr. BIG」や「レッチリ」と答えたら、欧米人から笑われたりしてね。
映画の最後の方で、「郭英男」と答えたバンドの中心メンバーが言うには、「俺たちは、部族の違いから喧嘩をすることもあったけど、一緒にバンドをやることで、お互いを理解することができた」というようなコメントがありました。たしかにそうなんだろうけど、結局そこでお互いを理解する土壌は、「ロック」という欧米から輸入した大衆文化なんだよなぁ、とも思いました。
多かれ少なかれ、日本も同じですね。本当は、日本の中にも多様な文化があるはずで、その違いを「乗り越える」、場合によっては「なかったことにする」ために、中央(東京)から発信される文化や、欧米から輸入した文化に塗り替えてきたのかもしれません。
私は、郭英男はカッコいいと思うなぁ。
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