8.25.2010

細かいことを言う年寄りは、大事だ

まつり当日の準備をしていた時のこと。1年ぶりに倉庫から出した山車を、囃子保存会のメンバーが丁寧に掃除して、提灯を取り付けたり、山車の両側に幟を立てたりしていました。
そこで古老の先輩が、山車の正面に吊ったいくつもの提灯の高さを揃えろ、と。「右から3つ目が高い、そう、それ、もうちょい低く、あダメだ、低すぎた、そうそう、そんくらいだ、あと左から5つめのやつ、それそれ、曲がってるよ、まっすぐさせろ」と、若い衆に延々と指示を出す。
それが終わったら、またもや古老の先輩が、山車の両脇の幟の文字が逆だから、正面を向くようにしろ、と。「そっちじゃねえよ、逆、逆、なんだよ風が吹くと棒が回っちまうのかよ、なんかで固定しろよ、だって文字が逆になっちまうじゃねえかよ、おっかしいよ」と、若い衆に延々と指示を出す。
炎天下のもとで細かい指示に、若い衆はやや嫌気が刺してきたようでした。たしかに、山車が動き出せば、いずれ提灯の高さはズレるし、風が吹くと幟の向きは変わってしまう。徒労感が顔に出てしまう。
そこで、保存会の中堅メンバーが、ボソっと言いました。
「ああいう細かいことを言う年寄りは、大事なんだよ。細かいことに誰も何も言わねえと、いずれ、何でもよくなっちまうんだよ。何でもよくなっちまったら、ウチのまつりじゃなくなっちまうからよ」。
いい言葉を聞いたなぁと思いました。

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