3.19.2010

「青少年健全育成条例」で「笑の大学」を思い出した

私が住む場所の、県境を越えたところの自治体が「青少年健全育成条例」の改正案を発表して、世間を賑わせています。
改正案の内容は敢えて書きませんが、改正案に対する意見募集の結果と、それに対する行政側の見解が発表されていて、これを読むだけでもかなり興味深いです。
ふと、思い出したのは、劇作家・三谷幸喜の名作「笑の大学」。戦時中、笑うための芝居なんて不謹慎きわまりないから、台本を検閲して面白い部分は修正、削除させる。劇作家と検閲官の対話による、現代喜劇の名作。この青少年健全育成条例の改正案に対する意見と行政側の見解は、「笑の大学」の中の劇作家と検閲官の対話を思い出させて、笑いがこみ上げてしまいます。
今回の改正案について私が思ったのは、「表現の自由」という問題よりも、健全か不健全かという価値基準を、制度が規定することの滑稽さであり、不健全なものを排除し規制する制度を求める市民のメンタリティの怖さでもあります。
私も親だから、こういうのは子どもの目に入れたくないよなぁと思う出版物もあるし、もっというと、電車の中吊り広告でも、公衆の場でこれはいかがなものか、と思うこともある。あるけど、そういうものを、私もついつい見ちゃうしなぁ、とも思ったりします。
もちろん、不健全なものが作られる背景に、犯罪や被害があれば、それは取り締まったり保護したりすべきだと思うんですが、不健全なものを、法律や条令で排除したり規制すればいいとは思わないです。「制度で取り締まればいい」というメンタリティに、強い違和感があるからです。人間の倫理観、審美観、価値観を、制度によって規定内・規定外を仕分ける社会なんて、私には耐えられない。ましてやそれを市民が望むなんてことは、私には耐えられない。
つくづく、県境の向こう側の住民じゃなくてよかったと思います。

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