市民対象の芸術文化育成事業に取り組んでいる栗東芸術文化会館さきら(栗東市綣2)が、同市の財政難で事業縮小の憂き目に遭っている。この5年間で自主事業は半減、11年度からは市の指定管理料も削減される見通し。市は貸館事業への特化も検討しており、関係者は「子どもたちの教育の場をなくさないで」と訴えている。実はこの月末に、さきらで開かれる勉強会というかワークショップのような場にお招きいただくので、記事の最後のコメントの西川さんと、先日お目にかかりました。上記の事情についても概ね聞いたんですが、それを聞いて、多くの公立文化施設が抱えている危機感を、すべて具現化しているような実情だと思って聞きました。
さきらは99年開館。当初は市の外郭団体が運営していたが、06年度から指定管理者制度に移行し、「ジェイアール西日本総合ビルサービス」が施設を管理、運営している。▽小中高生に音楽の基礎から教える「ジュニアオーケストラ・アカデミー」▽市民らが出演するミュージカル▽踊り手を育てるワークショップ--などの自主事業に取り組み、評価を受けている。利用者数は開館以来増え続け、08年度は21万9287人。
しかし、人口増を見込んだ大型施設整備や07年の新幹線新駅中止で、市は財政難に直面。事業縮小を進め、年間約2億円のさきらの指定管理料を11年度から約7900万円削減する検討を進めている。人件費を除く施設の維持管理費は年間約1億円。削減されれば、自主事業の継続は困難になる。
(中略)
さきらの西川賢司・事業担当部長は「子どもたちには『本物』を学ぶ場が必要。事業の成果を発表することで、市民らの理解を得たい」と話している。
新幹線の新駅が中止になったことと、さきらの自主事業費が削減されることは、直接的に結びつく問題ではないとは思います。が、あえて乱暴な意見を言うと、新幹線の新駅を整備するよりも、ジュニアオーケストラや市民ミュージカルが、この先もずっと継続されることの方が、栗東市にとって重要な未来への投資だと思います。地域に優秀な人材を繋ぎとめておくのは、新幹線の新駅よりも、地域固有の文化資源の方が有効だと思うからです。
ただ、栗東市民がそのことに気づくことが必要です。そんな話を、この月末、さきらでお話できるといいなぁと思っています。
2 件のコメント:
地方での公演事業の困難さが云々される昨今ですが、本日手元に届いた「北のとびら」No.84(北海道文化財団の機関誌)に、「生のステージは人を結ぶ魔法」と題した座談会が載っています。
何かと厳しい地方事業にあって、その前向きな姿勢は応援したくなるので、ご紹介しました。
北海道文化財団のURLは以下のとおりです。
http://www.haf.jp/
白ネコさん、コメントありがとうございます。
地方で文化事業を頑張っている鑑賞団体の前向きな姿勢には学ぶところが多いですね。こうした民間の活動には、個人の資質や情熱が必ずあるわけですが、地域に根差して、世代を越えて、持続可能にしていくためには何が必要なんだろう、ということを考えてみたいです。
ぜひ、また教えてください。
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