1.22.2010

密室の録音テープの文字記録

冤罪であることが確実とされている事件の、元被告と元検事の取調室での録音テープ。その二人の会話が文字にされているのを、ネットのニュースで読みました。
これを読む私は、元被告が無実であるという圧倒的な報道を知っているからこそ、元被告に対する同情と、元検事に対する怒りを感じるわけです。
しかし。
もし、圧倒的に元被告が犯人であるという報道の中で、これと同じ文字記録を私が読んでいたとしたら、いま元被告に感じている同情を、そのまま被害者や被害者の家族に向けて、いま元検事に感じている怒りを、そのまま元被告に向けているでしょう。
同じテキストから、これほどまでにコンテキスト(文脈)によって感情移入の対象や感情そのものが変化するということを、こんなに実証しているものがあるでしょうか?
しかも、これは戯曲ではなく、現実です(もし戯曲だったら、これほど人を震撼させる戯曲は歴史に残るに違いない)。この事件だけでなく、日常の私たちの身の回りにいつ起きてもおかしくないし、実際に起きていても気づいていないだけかもしれない。私にしても、マスコミにしても、誰にしても。
うーん・・・アートの力って何だろう?

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