「20歳未満の子どもはいるか聞いたところ,「いる」と答えた者の割合が28.4%,「いない」と答えた者の割合が71.6%となっている。後に続く設問の回答者を分岐させるための項目ですが、この調査の回答者の属性であると同時に、いまや「世論」を形成する大人のうち、20歳未満の子どもを持つ人が3割以下だということで、子どもを持つ人がマイノリティだということに改めて気づかされるわけです。文化に限らず、何の世論を形成するにしてもですが。
20歳未満の子どもが「いる」と答えた者(527人)に,子どもは,今までに,どのような文化芸術体験を行ったことがあるか聞いたところ,「学校における公演などの鑑賞体験」を挙げた者の割合が59.0%と最も高く,以下,「音楽,舞踊,華道,茶道,書道などの習い事」(45.4%),「ホール・劇場や美術館・博物館など地域の文化施設における,鑑賞や学習」(44.6%),「地域の芸能や祭りへの参加」(41.4%),「学校における演劇などの創作体験」(39.8%),「歴史的な建物や遺跡などの見学」(37.6%),「音楽祭や演劇祭など,地域で行われる文化的行事への参加」(36.6%)などの順となっている。(複数回答,上位7項目)「学校における公演などの鑑賞体験」をしている(と親が答えている)子どもが6割というのは、多いか少ないかは別として、習い事、地域の文化施設、地域の文化的行事よりも「学校」が重要な役割を果たしている、ということは明らかですね。あと、「学校における演劇などの創作体験」は、順位としては4番目なんですが、39.8%というのは意外と高いなぁと思いました。
性別に見ると,「学校における公演などの鑑賞体験」,「音楽,舞踊,華道,茶道,書道などの習い事」,「ホール・劇場や美術館・博物館など地域の文化施設における,鑑賞や学習」,「地域の芸能や祭りへの参加」,「学校における演劇などの創作体験」,「歴史的な建物や遺跡などの見学」,「音楽祭や演劇祭など,地域で行われる文化的行事への参加」を挙げた者の割合は女性で高くなっている。基本的に、女の子の方が文化的な経験が多いわけですが、時系列での調査があればなぁという気がします。
子どもの文化芸術体験について重要だと思うか聞いたところ,「重要である」と答えた者の割合が93.1%,「重要ではない」と答えた者の割合が2.1%となっている。この設問なんですが、重要か重要ではないかという二者択一で聞いた方が、都合はいいかもしれないけれども、その2つに「どちらかといえば」を加えた選択肢を用意すれば、都市規模、性別、世代別でのニュアンスの違いが分かったんじゃないかなぁ。
子どもの文化芸術体験について,「重要である」と答えた者(1,725人)に,何が重要だと思うか聞いたところ,「学校における公演などの鑑賞体験を充実させる」を挙げた者の割合が58.3%と最も高く,以下,「ホール・劇場や美術館・博物館など地域の文化施設における,子ども向けの鑑賞機会や学習機会を充実させる」(49.5%),「地域の祭りなど,地域に密着した伝統的な文化体験の機会をより多く提供する」(46.0%),「音楽祭や演劇祭など,地域で文化的行事を開催し,文化芸術に親しむきっかけを提供する」(41.0%),「歴史的な建物や遺跡などについて学習する機会を充実させる」(39.9%),「学校における演劇などの創作体験を充実させる」(38.1%)などの順となっている。(複数回答,上位6項目)この設問と、前の設問「文化芸術体験を行ったことがあるもの」と比べると、「学校における鑑賞機会」では「行ったことがある」は59.0%で、「重要である」が58.3%で、若干減っています。「地域の文化施設における鑑賞機会や学習機会」は「行ったことがある」のが44.6%で、「重要である」が49.5%と、5%ほど増えています。「地域の芸能や祭りへの参加」も「行ったことがある」のが41.4%で「重要である」が46.0%と4.6%増えている。つまり、現状での子どもの文化芸術体験で学校が果たす役割は大きいし、今後も学校の役割は重要だけれども、地域の文化施設や文化活動は、今まで果たしてきた役割以上の重要性を期待されているという見方もできるわけです。
子どもの文化芸術体験について,期待する効果は何か聞いたところ,「日本の文化を知り,国や地域に対する愛着を持つようになる」を挙げた者の割合が60.2%と最も高く,以下,「美しさなどへの感性が育まれる」(51.9%),「他者の気持ちを理解したり想像するようになる」(38.6%),「コミュニケーション能力が高まる」 (37.9%),「他国の人々や文化への関心が高まる」 (35.7%)などの順となっている。(複数回答,上位5項目)子どもの文化芸術体験に「日本の文化を知り,国や地域に対する愛着を持つようになる」という効果を期待する、というのが6割というのは、私は意外でした。国や地域に対する愛着を持つような文化芸術の体験って、どういうものを想像すればいいんだろう?あと、「コミュニケーション能力が高まる」や「他国の人々や文化への関心が高まる」といった、民主党のマニフェストで書かれたコミュニケーション教育拠点形成事業の主旨にあたる選択肢が、相対的に低かったのも注目すべきところ。
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