1.28.2010

「文化に関する世論調査」の考察-4

引き続き「文化に関する世論調査」の考察。「4.文化芸術振興のための寄附」から。
この1年間に,チケット代金以外の文化芸術振興に関わる寄付をしたことがあるか聞いたところ,「ある」と答えた者の割合が9.1%,「ない」と答えた者の割合が90.9%となっている。
文化芸術振興に関わる寄付をしたことが「ある」が9.1%というのは、私の実感と比べると、多いと思いました。文化や芸術のために寄付したことがある人が、およそ10人に1人。そんなにいるかな?というのが正直な印象でした。
ただ、この調査の文化芸術には地域の民俗芸能や祭りも含まれているニュアンスがあるから、そういった活動への寄付は、決して少なくないだろうなぁとは思うんですが。
文化芸術振興のための寄付が活発に行われる環境づくりのために何が必要だと思うか聞いたところ,「寄付金の収支が明確になること」を挙げた者の割合が42.3%と最も高く,以下,「寄付先(文化芸術団体等)の情報が積極的に提供されること」(30.5%),「寄付金が使われる分野・内容を指定できるようにすること」(24.8%),「寄付に対する控除など,納税の際の優遇措置」(21.7%)などの順となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が19.1%となっている。(複数回答,上位4項目)
私も寄付を促す環境のためには、説明責任を果たすことはとても重要だと思います。この調査結果も、それを裏付ける結果だと思います。ただ、寄付を受ける側の文化芸術団体は、例えば寄付金の収支を明確にすることが、新たな寄付を獲得することに繋がるとは、あまり考えていないんじゃないか、という気がします。なので、資金調達のための普及啓発や人材育成は、今後の重要なテーマだと思います。
年齢別に見ると,寄付先(文化芸術団体等)の情報が積極的に提供されること」を挙げた者の割合は30歳代で,「寄付先(文化芸術団体等)の情報が積極的に提供されること」を挙げた者の割合は20歳代,40歳代で,「寄付金が使われる分野・内容を指定できるようにすること」を挙げた者の割合は50歳代で,「寄付に対する控除など,納税の際の優遇措置」を挙げた者の割合は40歳代,50歳代で,それぞれ高くなっている。
この年齢別の意識の違いは興味深いですね。この調査結果からは、年齢によって考え方が違うということが明らかになっていますが、もしかしたら、寄付する金額の規模によって違うんじゃないかと。つまり、20〜30歳代で寄付できる金額は、40〜50歳代で寄付できる金額よりも低いのではないかと考えると、少額寄付者は「寄付先の情報提供」が、多額寄付者は「税の優遇措置」が、寄付活動の促進を大きく左右するのではないか、と思いました。

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