11.12.2009

文化・芸術施策関連の「事業仕分け」

メディアでも、かなり報道されている行政刷新会議の「事業仕分け」ですが、文化・芸術施策関係の仕分けの結果を探してみたところ、11月11日付けのカナロコ「事業仕分けの結果詳報(11日)/行政刷新会議」に掲載されていました。以下、引用させていただきます。
【独立行政法人日本芸術文化振興会】芸術家への助成など振興会が関係する事業は、運営の方法に批判が目立ち予算の削減と判定された。
【芸術家の国際交流等】若手芸術家の海外派遣など交流事業(要求額32億円)は、帰国後の活動状況を調査していないことなどから予算を削減。全国約5千カ所で小中学生に日本舞踊や茶道などの伝統文化を体験してもらう「伝統文化こども教室」など3事業(22億円)は「国として行う必要はない」となった。

それだけの理由で「削減」とか「国として行う必要はない」という判定が下されるのか?と素朴に思うところもありますが、きっと、ワーキンググループでは、いろいろと議論されたんだろうなぁ・・・されたのかなぁ・・・?
仕分けの結果について、様々な意見が噴出することは明らかでしょうけれども、この事業仕分けのあり方そのものや、そこでの議論の中身について、検証すべきだと思います。ムダ使いをなくすためには、予算要求の根拠も厳しくチェックすべきですが、削減する根拠も厳しくチェックすべきだと思うんです。だって、削減さえすればいいというわけじゃないから。
文化・芸術関連の予算で心配なのは、そもそも大きくない日本の文化予算が、削減されたり、国として行う必要がないと判定されると、きっと直接影響するのは地方だと思います。国で必要性を認めない文化予算を、今まで以上に地方自治体が拡充できるでのか?私は逆だと思います。地方自治体の文化予算も、国に倣って削減される方向になるのではないか。それに、例えば芸術文化振興基金のような助成制度を用意していない地方では、芸文基金を活動の支えにしていた団体は事業ができなくなって、今まで以上に、地方と東京の文化環境の格差が進むのではないかと、危惧します。
その一方で、「芸術家への助成など振興会が関係する事業は、運営の方法に批判が目立ち」であるとか、「若手芸術家の海外派遣など、帰国後の活動状況を調査していない」という指摘は、たしかにそのとおりだと思います。これは、ちゃんと改善すべきだと思います。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

御サイト拝読。そのオピニオンはもっともと思います。芸術関係に関する仕分け作業にはその経緯もいまひとつ明確ではなく、なかでも日本芸術文化振興基金などの助成金が日本の音楽界に果たした役割は少なからず成果をもたらしているのにも拘わらず、「文化施策の動機付けが見えない」として大幅削減の対象になるとしたならば、おっしゃるように、それでなくとも予算の厳しい地方など文化事業推進から大きく後退を余儀なくさせられるでしょう。海外(欧米)など、文化施策(補助)が日本と比べて状況がいいためにチケット価格も安く押さえられている状況があります。21世紀の今こそ、文化芸術が人々の心に与える活力が注目されるはずですが、時代逆行の様相で、これでは、かつての文化大革命の紅衛兵を想起させられたのは私だけでしょうか。

大澤寅雄 Torao Ohsawa さんのコメント...

こんにちは。コメントの投稿、ありがとうございました。コメントの内容から察するに、音楽界の関係の方でしょうか。もし、今回の事業仕分けの影響について、音楽界で懸念される点などがありましたら、ぜひご意見を頂戴できれば幸いです。今後とも、よろしくお願いいたします。

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