のびるっこの運動会には、始まる時間は決まっていますが、終わりの時間は決まっていません。なぜなら、多くのプログラムで、子どもが納得いくまでやるからです。
例えば、運動会のメインの種目「力いっぱい」というのがあります。障害物競走のようなものですが、年少、年中、年長といった生育段階に応じた障害物がコースに並べられています。跳び箱を跳んで、マットで前転して、背丈よりも高い板を越えて、最後に竹をよじ登る、といったメニューです。これを一人ずつ挑戦し、それを子どもも保護者も全員で応援します。
ある子は、跳び箱を跳ぶのにお尻を着いてしまうので、何度も跳び直します。ある子は、背丈より高い板を越えることができず、何度も越えようとします。先生は、少しだけ助言をします。右手を引っかけたらすぐ左手も引っかけてみな、とか。そのうち、挑戦している子の親じゃない別の園児の親とか、別の園児のお兄ちゃんとかが、板のてっぺんをよく見て、とか、もうちょっと後ろから走ってみな、とか声をかけます。
何人かの子どもは、泣きそうになりながらも、何度も何度も何度も何度も挑戦します。あーおしいなぁ、がんばれ、もう少し、あとちょっと、と、みんなで声援を送ります。そして、ある子は「またこんどがんばる」と言ったところで拍手で送り出し、ある子は板のてっぺんに両手が届いたところを先生がお尻を支えてあげて、板を乗り越えました。
その、何度も何度もチャレンジする姿は、早くクリアできた姿よりも、美しく尊い姿に見えます。友だちも先生も保護者も、チャレンジしている子どもを、みんなが待ちます。誰も「もういいでしょう」と言う人はいません。子どもが自分で納得するのを待ちます。私は「待つ」というよりも、その美しく尊い姿を見て、ただ感動しているだけなんですが。
ふと考えてみると、自分は息子と接していて、何事も待つのではなく、急かすことの方が多いことに気がついて、息子が自分で乗り越えようとするのを、私が待つことができないために、自分で乗り越えるチャンスを奪っているかもしれないことに気がつきました。
そんなわけで今年の運動会は、息子もよくがんばったけど、私が尊敬する園児が、また増えました。のびるっこ保育園には、尊敬すべき現役園児、卒園者、先生、保護者がたくさんいて、本当に誇らしいです。私が通った保育園・幼稚園、小中高校、大学に比べて、息子が通う保育園に誇りと愛校心(愛園心?)を感じています。
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3 件のコメント:
いい運動会ですね。
今年は、ブナの運動会に行けなかったので、おおいに耳が痛いところです。また、キリンくんと遊べる機会を作りたいですね。
待つことって、なかなか難しいですが、本当に必要なことだと思います。舞踊など、教えるときにも気をつけたいと思っているんですが、なかなか難しい・・・。
佐久間さん、お久しぶりです。コメントどうもありがとうございます。
ホント、待つことって難しいですね。子どもが,
何かを自分でできるようになるまで、1分、1時間、1日、1ヶ月、1年待ってみる…そうすることで、その後生きていく数十年が変わるということがあるかもしれない、と思えば、「早く!」なんて急かさないでもいいのになぁと思いつつ、今日も「早く!」って言っちゃったなぁ、と反省。
あ、佐久間さんにビデオを早く送んなきゃ。いや、急がなくてもいいか(笑)。
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