10.01.2009

必要なのは、ハコモノでも、人材育成でもないんじゃないか。

昨日のニュースで、メディア芸術総合センター(仮称)の計画が見直しになったことが話題になっていました。私は、施設を作ることに賛成できないと思っていましたが、改めて文化政策における「ハコモノ」について考えました。
美術館、博物館、ホール、劇場など、文化施設は、多くの場合、国や自治体の行政区域に「あるか、ないか」が最初に議論される気がします。ウチの町には美術館はあるけどホールがない、とか、ウチの市には県立ホールはあるけど市立のホールはない、とか。
これから必要になる考え方は、施設の有無じゃなくて、そのエリアの人、物、場所が「適切に結びついているか、いないか」ということを、最初に議論すべきじゃないかと。例えば、その町にピアノの上手な人がいて、音楽が好きな人がいて、ピアノがあって、ホールがある。それらの人、物、場所が、結ばれることが大事であって、それぞれ「あればいい」というものではない。
ある町には、ピアノの上手な人がいて、ピアノもあるけれども、音楽好きな人は少ないし、ホールもない。その時に考えなければならないのは、音楽好きな人を増やすことが先で、決してホールが先ではない。音楽好きを増やそうとして、ピアノのある学校、公民館、ホテルのロビー、カフェとか、そういう場所でコンサートをやってみたら、そういう場所と、ピアノが上手な人が結ばれて、新しい出会いになる。ピアノを弾ける人とと音楽が好きな人の需要と供給のバランスが見える。もしかしたら、ホールじゃなくても十分音楽を楽しめる場所があることを、発見できるかもしれない。
だからメディア芸術総合センター(仮称)は、場所より先に考えられることがあると思います。でも、「人材育成」が必要かというと、そうでもない気もします。人材を育成しても、働く場が少ないとか、働く環境が劣悪で、優れた人材でも辞めざるを得ないというのが実態なんじゃないか。
私の知っている方で、アフガニスタンの農業開発の支援の現場に行っている人が、日本政府がアフガンでの「職能教育」に支援するのは間違いで、まず雇用を生み出さないと、職能教育をしてむムダじゃないかという主旨のことをブログに書いておられました。メディア芸術に限らず、日本の芸術分野は、アフガンの状況に似ているなぁと私は思います。

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