9.01.2009

文化庁の概算要求について(1)

国の来年度の概算予算案が発表されました。私の関心は文化にあるので、文化庁のウェブサイトから「平成22年度文化庁概算要求の概略」と「平成22年度概算要求主要事項説明資料」をダウンロードして読みました。
平成22年度概算要求額は1,190億円。前年度予算額(当初)との比較で伸び率16.7%のアップとなっています。おそらく世間の注目を集めるのは「メディア芸術総合センター(仮称)」に関する予算でしょう。読むと、「メディア芸術の総合的発信」に19億円で、その中の「メディア芸術の国際的な拠点形成のための調査研究」には800万円の予算。それに対して、「メディア芸術の人材育成」が8億円で、その中の主な事業の「若手アニメーター等人材育成事業」が2億6千万円、「メディア芸術ユニバーシアード」が3億円。これらの人材育成事業は、新規の予算要求になっています。
今年度の補正予算でもっとも批判に曝されたメディア芸術総合センターですが、来年度の概算要求では非常に目立たない存在になり、人材育成の予算を新規に盛り込んだ形になっています。私は、センターの建設に対して賛成はできないと思ってきましたし、若い人材が経済的に苦しい状況にあることに対して目を向けるべきだと思ってきました。そういう意味で「人材育成事業」で、「ハコモノ」ではなく「ヒト」に目が向けられていることは、高く評価できると思います。
ただ、私としては育成よりも、安心して働けてキャリアアップができる環境整備の方が必要だと思います。これは、メディア芸術だけじゃなくて、舞台芸術も、アートマネジメントも同じで、人材を育成するのは結構なんだけれども、働く場が少ないのと、働く場があっても劣悪な条件で働いているわけです。その環境を改善しないと、せっせと人材を育成しても、結果として路頭に迷う人を増やすか、働く環境が魅力的な海外に流出することになるわけです。
そこで提案なんですが、「人材育成」に関する予算を、「雇用環境の整備促進」にも使えるようにするのはどうかと。メディア芸術だけじゃなく、あらゆる分野で。そうすれば雇用対策にもなると思うんですが、いかがでしょうか。
あと、メディア芸術総合センターについて、アサヒビール芸術文化財団の加藤種男さんが、企業メセナ協議会主催の公開フォーラムで言われましたが、「新しく作るのではなく、すでにあるメディア芸術関連の施設を国立的な扱いにして、運営を支援する」という考え方は、いいアイデアじゃないかと思いました。
せんだいメディアテーク、山口市情報芸術センター(あと民間ですが、初台のインターコミュニケーションセンターも加えていいと思います)などを、国によるメディア芸術の振興拠点として活用する、ということもアリなんじゃないかと。
どうでしょうかね。

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