9.01.2009

文化庁の概算要求について(2)

先のエントリーで、主にメディア芸術を取り上げて文化庁の来年度の概算要求を見ましたが、言うまでもなく、政権交代が実現した今となっては、白紙に戻ったと言えるでしょう。しかし、新しい政権が、一度公開された概算要求の内容をどのように読んで、何を残して何を削るのかを見るためには、いいタイミングだったと思います。
「ムダをなくす」「官僚主導から政治主導へ」。どちらも間違いじゃないと思います。では、「文化」という領域で、何がムダで何がムダじゃないと考えているのか。官僚に頼らずに、どこまで政治家が文化政策をリードできるのか。国民の声を聞く意志があるのかどうか。注目したいと思います。
私としては、1990年代以降、増額が続いた文化庁の予算がどうなるのかは当然気にかかります。が、むしろ大事なことは、これだけの予算を執行する制度設計について、政治主導で変えてほしいということです。
とくに文化庁の助成制度は、ほとんど全てのプログラムで「事業完了後の後払い」となっていて(なぜか映画や伝統芸能は例外になっているみたいです。なぜでしょう?)、経営規模の小さな団体は、大きな助成金額を受けると、キャッシュフローが破綻する危険があります。また、助成金額の上限は「助成対象経費の1/2で、自己負担金の範囲内」という赤字を出さずに事業をすることができない仕組みになっています。助成金を受けることが、必然的に赤字を生み出す原因になるという矛盾を抱えています。
そのために、スタッフの人件費の支払いが減ったり滞ったり、組織のトップが個人的に経済的リスクを負わなければならなくなることが、決して稀なことではなく、あります。組織はどんどん疲弊し、事業の継続が困難になります。「『文化芸術立国』の実現と文化発信」が概算要求のテーマだそうですが、国民は文化芸術でメシが食えないのに、国家が文化芸術で立国できるわけがないじゃないか、と思うのは私だけ?
新しい政権が予算に対して厳しい目を向けることは、国民が選択したことですから、受け入れなければなりません。が、同時に、官僚主導で作られた制度設計が、いかに国民の目線とズレているのかについてもしっかり検証することを望みます。また、国民からも、声を挙げなければならないと思います。

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