6.09.2009

いわゆる「アニメの殿堂」の動向

どうやら、「アニメの殿堂」という言葉が、かなりマスコミに定着しているみたいですね。
今日、Googleニュースを「アニメの殿堂」で検索したところ、民主党だけでなく、自民党の内部からも不要論が出されたみたいです。
議論になることは悪くないと思うんですが、「どうしても殿堂を建てる」という意見と「どうしても無駄遣いさせない」という、ただそれだけの安易な二項対立で盛り上がっても、あまり中身のないまま選挙の争点になってしまいそうな予感がします。
今まで文化や芸術は、政策論議のポジションが低かったし、誰も文化や芸術の意義そのものに反対する人はいなかったんですね。それが、たまたま「アニメの殿堂」というトピックで、いきなり政策論議の中心になっているわけですが、アニメの殿堂の必要vs不要という対立から少し降りて、アニメやメディア芸術の支援の必要性とか、ハコモノ以外に考えられる支援の手法とか、議論になるといいんですけどね。私としては、あんまり「殿堂」は必要とは思わないけど、アニメやメディア芸術を仕事として携わろうとする若い人が、希望を持って働けたり、その努力に対する正当な報酬があるような「環境整備」は、補正予算の意義からしても必要だと思います。
ちなみに、6月8日のNIKKEI NETに「『アニメの殿堂』ほど正しい予算の使い方はない」というコラムが掲載されています。大事なことを書いていると思う一方で、それでも正直なところ「殿堂じゃなくたっていいんじゃないの?」と思うなぁ。どうしてかと言うと、このコラムには
例えば、日本のアニメの影響を受けたハリウッドの有名監督や大物プロデューサーが来日すると、必ずアニメやマンガが集まっているところに行きたがるのだが、結局みんな東京・渋谷の「まんだらけ」(マンガや同人誌の専門店。希少価値のある絶版本やおもちゃも扱っている)に行くそうである。
なぜそうなるのか。地方には石ノ森章太郎氏の美術館など地元出身の大御所漫画家の作品を展示した施設はあるが、世界が評価するアニメやマンガを体系的にアーカイブし、その歴史や資産をちゃんとまとめた場所がないからである(東京・秋葉原に東京アニメセンターがあるが規模は小さく、そうした機能は果たしていない)。

と書いてあるけれども、ハリウッドの有名監督や大物プロデューサーのために国がアニメの殿堂を作ってあげる必要は、あまり感じない。体系的にアーカイブするのは、国の施設で一箇所に集中して現物を管理しなくても、貴重な資産が、誰が権利を有していてどこで管理しているのか、情報を一元管理して公開すればよいのではないか。逆に、例えば漫画家は自分のアニメの原画など、貴重な資産を国に預けたいと思うのかなぁ?価値のあるものは、個人や民間で所有・管理して自由に活用したいと思わないだろうか(国の施設が管理すると、とっても役所的な管理やコレクションの方針に辟易するようなことが起きないだろうか)?結果的に、お台場のアニメの殿堂よりも、やっぱり渋谷の「まんだらけ」の方が面白いよねぇ、てなことにならないだろうか、とか。
まぁしかし、文化政策に限ったことではないけれども、公共政策=ハコモノ整備とバラマキ予算いう考え方の政治家とその支持者、ハコモノ整備やバラマキ予算に対するアレルギーを持つ政治家とその支持者、そのどちらにも無関心な国民、という図式のままで、無関心層だけが増えてしまう悪循環を、何とかしないとマズいんじゃないかなぁ。

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