5.25.2009

踊ればわかること

先週の金曜の夕方、四谷ひろばというところで、多摩美術大学の芸術人類学(中沢新一氏が研究所長)が主催する研究会に、カミさんと息子と一緒にひょろっと参加しました。そこで発表された古川優貴(ゆたか)さんという、一橋大学社会人類学の博士課程の女性がとてもおもしろい発表をしていました。
http://www.soc.hit-u.ac.jp/research/wakate/detail.cgi?ID=33
彼女は、ケニアの聾学校で子どもたちの活動を調査したんですが、ほとんど聴覚の聞こえない子どもたちが、大人数でダンスを踊るときに、なぜか太鼓のリズムに乗せて全員の動きのタイミングが合うのを見て、以下のように考察したそうです(レジュメから引用させていただきます)。
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「感覚とは、音を聴覚でとらえ、目の前にあるものを視覚でとらえるというように、五感のそれぞれが独立して受信の役割を果たすようなものではないのではないか。聾学校の子どもたちのとりわけ複数人によるダンスが、もし、「視覚」に頼って行われていたとしたら、あれほどタイミングが合うことはなかったであろう。
「感覚」と呼ばれるものは、「外の世界」と常につながっている「からだ(全体の)経験」と言えるのではないか。そしてその「からだ経験」を伴った表現は何らかの「芸術的な装置」を必要とはせず、われわれの日常にこそあると思う。
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ビデオの映像でケニアの聾学校の子どもたちが踊っている様子を見たときに、耳で音楽を聴いて踊っているのではない、からだ全体で外の世界を受信して踊っているダンスというのは、こんなに魅力的なんだなぁというのを、感じました。
終わってから、おもしろい話だったねぇと手塚夏子に言うと、「たしかにおもしろいんだけどさ、学問というのは、回りくどいもんだねぇ。踊ればすぐ分かるじゃんよ」と。なるほど、そういうもんですか・・・。

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