5.19.2009

お囃子を伝えること

久しぶりにブログを更新します。いつもこのブログは、朝起きてから家を出るまでか、電車に乗っている間に書くんですが、この2週間くらい、いろいろ仕事がたまって、早朝に自宅で仕事して、通勤電車の中は熟睡していました。
さて、久しぶりと言えば、先日の土曜の夜にお囃子の稽古に行ったのも久しぶりで、3週間ぶり。昨年の秋に保存会に入会してから半年間くらい、新人の私が稽古でやることは、正座して、「テケテンスクテレスクテンスクス」という太鼓のリズムを声を出したり、稽古用のタイヤのゴムを貼った太い棒をバチで叩いたり、順番に太鼓を叩かせてもらったり、ということを毎週繰り返していたわけです。
それが、この土曜日に、新しい曲を教わることができました。すごい出世した気分なんです。
で、先輩から教えてもらったのが、これです。
「テンテン(おう)テケテンテンテンテンテン
 テンスケスケテンスケテンテン(どっこい)」
どうよ。すごい出世でしょ。
ホントはもっと長い曲で、この後にどんどん複雑なリズム展開になるんですが、まずはその出だしだけを教わりました。教わると言っても、まだバチを持たずに、やはり声に出して何度もリズムを言うことから始まります。まず、先輩と一緒に声を出して、それから、「じゃ、やってみてください」と。

(寅)テンテン、おう、テケテン・・・
(先輩A)うーん、ちょっと違いますね
(寅)はい、テンテン、おう、テケテン・・・
(先輩A)違うなぁ、テケテンじゃなくてテケテンって感じでお願いします
(寅)・・・えーと、テケテンですよね・・・テ・・・テケ・・・テケテン
(先輩A)えっとね、大澤さんのはテーケテンって聞こえるんですよ
(寅)あぁ、なるほど、テーケテンじゃなくてテケテンなんですね
(先輩B)いや、そこは若干、テーケテンになると思うよ
(先輩A)そうかなぁ、テーケテン、テケテン、テーケテン・・・
(先輩B)それそれ、そのテーケテンじゃない?
(先輩A)そっか、ほんじゃそこは、若干、テーケテンということで
(寅)え、じゃ、若干ですか、テンテン、おう、テーケテン・・・こんな感じ?
(先輩A)うーん・・・なんか違うんだよなぁ・・・

・・・みたいな稽古をやりました。
西洋音楽には楽譜があって五線譜があって、その教育を受けた人は、おおむね同じように歌ったり演奏できたりするグローバルなシステムがあるわけです。が、お囃子には(少なくとも藤野囃子保存会には)口伝というか、人から人に伝えることが不可欠なんです。
それは、圧倒的に効率の低く、ローカルなシステムです。例えば、お囃子のリズムを楽譜にして、楽譜の読み方と基礎的な演奏技術を教育し、技術の習熟度に応じた教則本や楽譜やCDやDVDを提供する、ということも、やろうとすればできないことじゃないし、効率もいいし、グローバル化するかもしれない(?)でしょう。
でもお囃子にとって、人から人に伝えるという効率の低いやり方が、人とコミュニティをつなげているわけです。もしお囃子がなくなれば、私は地域とつながる回路を一つ失うわけです。
それにしても、テケテンなのかテーケテンなのか、いまだによく分からない・・・。

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