4.24.2009

ソフトパワーは確かにパワーをふるっているのだ。が・・・

ニューヨークのJapan Societyで芸術監督をされている塩谷陽子さんが、朝日新聞グローブに「ハラキリとMangaのはざまで−〈文化輸出〉に必要なもの−」というコラムを書かれています。いろいろ気づかせていただいたり、共感することも多い文章です。いくつか引用させてもらいます。
アニメなどのソフトが広がったのは、国の文化外交の賜物(たま・もの)なぞではなく、市場先導で起こったものだ。市場は「正しさ」には無責任だが、パワーをふるう。そこに国が「ソフトパワー、文化の輸出」という言葉を冠して《便乗》しただけだ。
(中略)
それが5年ほど前から、前述の振付家のように「Manga」や村上春樹、コスプレ現象などに触発されて作品を作りたいという今日的な素材を抱えた連中が数多く押し掛けてくるようになった。
ソフトパワーは確かにパワーをふるっているのだ。が、彼らに「日本をかつて開国させたのは米国だ」などという話をしたならば、SFでも聞くような表情になる。日本の国策とか文化外交の視点でこの現象を眺めた時、「いいさ、とにかく日本に興味を持つ人口が増えているんだから」と言い切れるのか?
(中略)
国が、市場先導のソフトパワーに便乗して「文化の輸出」を掲げるのも悪くない。だが、輸出を《正しく》促進したいなら、まずは国内のデータベースの整備とその基本規則への教育という役割を担って欲しい。と、日本文化を米国に理解してもらうという職に携わるこの在米日本人は、日々切実に思うのである。

いやー、まったくそのとおりだと思います。
それにしても塩谷さんの文章は、塩谷さんの声とか話し方がクッキリ思い浮かべられますね。そばでしゃべっているみたいですよ。ホント。

0 件のコメント:

archive