2.15.2009

STスポット横浜アート教育事業部のこと

昨日、横浜美術館のレクチャーホールで、「アートと教育の連携のこれから」というシンポジウムで、パネリストとして参加させてもらいました。このシンポジウムの主催団体のひとつ、NPO法人STスポット横浜は、2004年度から神奈川県・神奈川県教育委員会と3者の協働事業で「アートを活用した新しい教育活動の構築事業」(以下「アート教育事業」)に取り組んできました。
私は、その事業の前半でお手伝いしていたこともあって、今回、パネリストとして呼んでもらいました。限られた時間の中での事例報告やディスカッションなど、盛りだくさんの内容で、できるだけパネリスト同士の対話を聞いてもらおうと自制したこともあって、シンポジウムでも私から言い足りなかったことを、ここに書いておきます。
この「アート教育事業」で、関わった学校の先生やアーティストの存在はもちろんですが、STスポット横浜アート教育事業部の松尾子水樹さんと、小川智紀くん、田中真実さんという、3人の専門性を持ったコーディネーターの存在の大きさは、いくら強調しても強調し足りないです。学校の現場とアーティストをつなぐ役割、両者の翻訳をする役割というのは、本当に高度な能力が必要です。その一方で、コーディネーターの仕事の質や量は、外部からは見えにくいのです。
シンポジウムの前半に、横浜国立大学の宮坂先生もおっしゃっていましたが、そうしたコーディネーターの職能を認め、専門業務として位置づけることが急務だと思います。最近、こうした人材育成の必要性は理解されつつあるけれども、人材の「雇用」もしくは「登用」が視野に入っておらず、多くの場合は「ボランティア」としての人材育成に止まっています。
そのため、事業として持続し、発展させるには、コーディネーター個人に相当な経済的・精神的な負担をかけます。まずは、その経済的・精神的な個人負担という課題を、事業に関わっている組織(行政、学校、NPO)や、共感、共鳴する人々(地域住民、個人)の間で、当事者として共有しなければならないと思います。私も、当事者だと思っています。
とにかく、STスポット横浜と神奈川県・県教委による「アート教育事業」が、当初の予定どおり5年間継続し、その期待される成果である「子どもたちの、創造力、表現力、コミュニケーション能力、想像力等を育み、生きる力と共感する心を自ら発見する機会を提供する」ということを、期待した以上に成果を残してくれたんじゃないかと、私は思います。そこに少しでも関わった人間として、誇りに思います。
松尾さん、小川くん、田中さん、ホントお疲れさんです。心から3人に、大きな拍手を送ります。

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