1.19.2009

淡路島で考えたこと

先の週末は、アートNPOリンクの樋口総長の指令で、淡路島の淡路アートセンターを訪ねました。淡路で人と出会って話をする中で、「文化とは何か、豊かさとは何か」について、考えました。そのうちの、2、3の事柄について。
昨年末の12月22日付けの神戸新聞で「淡路107、阪神南0.6% 食料自給率の県地域別試算」という見出しの記事によると、「淡路地域は(食料自給率が)107%を記録し、消費カロリーとしては地域内で完全に自給自足ができている状態」なんだそうです(食料自給率(カロリーベース)は、国内で生産される農水産物の熱量を、消費する食料の熱量で割って算出)。
その話を淡路アートセンターのやまぐちさんと、彫金家の納(オサメ)さんとしていた。「言われてみれば、近所から野菜とか米をもらったりして、あまったらご近所にお裾分けして、一日まったくお金を使わずに生活しようと思たら、できちゃいますね」とやまぐちさん。
続いて、そこそこ高齢なんだけどスゴく感性の若い素敵なおばさん、オサメさんの話。「淡路の普通の食料品店でも、ものすごい種類のハーブや香辛料を売っとるんや。東京から来た美術関係の人が淡路に来て驚いとった。割烹着きた普通のおばちゃんが、東京でも聞いたことないような香辛料を買うとってびっくりしたんやて」。
もう一つ、オサメさんの話。「ちょっと昔は、淡路では日本舞踊とか三味線とか小唄端唄とか、習い事がいっぱいあったんや。宿場やから芸者さんも多かったし、芸者さんが現役を引退して、そういう習い事を地元の人に教えたんやろなぁ。習い事は子どもがするもんやなくて、大人が楽しむもんやったしなぁ」と。すると、やまぐちさんも「そういえば、ウチもお母さんが日本舞踊を習ってたわ。子どものときは、大人になったら習い事ができるんやと思ってた」。
お世辞にも現在の淡路は経済的に豊かな地域には見えません。昔は経済的に豊かやったんですか?と聞くと「いや、金持ちなんてぜんぜんおらへん。頭にシラミがわいとる子どももいっぱいおったし。でも、精神的には豊かやったなぁ」とオサメさん。
そんな話から、いろいろ考えました。
もしかしたら、食料自給率という指標は、多くの経済指標よりも、根本的な国や地域のパワーを示しているんじゃないか、とか。
もしかしたら、食文化の豊かさを考えた場合、肉や魚の量よりも、ハーブや香辛料の種類の方が、食文化の指標として適切ではないか、とか。
もしかしたら、嫌がる子どもに無理やり習い事をさせるよりも、楽しんで習い事をする大人の姿を見せた方が、子どもにとっても教育的なんじゃないか、とか。
淡路には、豪華な劇場・ホールや美術館はないし、有名なアーティストのコンサートや大きな美術展は本土に行かないと見られないけど、もしかしたら、そういうものが揃っている都市や地域よりも、よっぽど淡路の方が、本質的に豊かな文化が揃っているんじゃないか、とか。

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