12.19.2008

パブリックな空間って何だろう?

先週、大阪に行ったんです。通天閣のある新世界という地域とその周辺で、「まちが劇場準備中」というタイトルのアートプロジェクトがあって、それをアートNPOリンクの樋口くんから、取材しに行ってこいという命令が下されたので、行ってきました。
現場で見聞きしたことは、「アートNPOデータバンク2008」という冊子に文章を書きますが、このブログでは、些細だけれども印象深いエピソードを書き記しておきます。
新世界とその周辺は、とても庶民的な下町の風情たっぷりの地域で、通天閣のふもとには、いくつもの商店街が延びています。ところどころ、商店街のお店とお店の間には、車が入れないような狭い歩道があって、そこを入ると古い木造の住宅が軒を並べていたりします。その軒先の多くには、植木鉢やプランターに、よく手入れされた草花が美しく添えられていて、狭い道なのにとっても居心地がいい。思わず深呼吸をして、ああ、なんて気持ちいい場所なんだろう、と思いました。
また商店街に戻って少し歩くと、今度は、商店街を分断するかのように頭上を高速道路が走る高架下の空き地がありました。しかし空き地には金網が張り巡らされていて、誰も入れない。おそらく、路上生活者の立ち入りを防ぐためであることは想像できます。ただ、その金網の手前や、金網の向こう側には、空き瓶、空き缶、ペットボトル、ビニール袋など、ボロボロとゴミが落ちているんです。
ふと私は、どっちがパブリックな空間なんだろう?と思いました。
私有地か公道かもよく分からない狭い道の個人宅の軒下に、そのエリアの住民や訪れる人が居心地のよくなる植栽がある。それだけなのに、その狭い道は、とても素敵なパブリックな空間だと思うんです。一方で、行政が管理する高速道路の高架下は、誰も入れないし、誰も自分の場所だと思わない。そしてゴミが捨てられる。それってパブリックな空間なんだろうか?
それだけじゃないんですが、「まちが劇場準備中」というアートプロジェクトには、「パブリック」について考えさせられる仕掛けが、いくつもありました。とても楽しかったです。

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