12.02.2008

顔と顔コラム (5) 野村誠さんのこと(続き)

(「顔と顔カフェ」の詳細→http://natsukote-info.blogspot.com
野村さんの話の続きですが、野村さんの作品は、狭い意味のカギ括弧付きの「音楽」では括れない面があって、パフォーマンス、あるいは映像作品としても、見逃すことができません。
映像作品で私が見たことがあるのは、野村幸弘さんとの共作による「体育館の音楽」と「ズーラシアの音楽」、それから、近江八幡のアートギャラリーNO-MAで公開されていた、老人の語りと野村さんの鍵盤ハーモニカのコラボレーション。
「体育館の音楽」は、私の記憶では、大勢の小学生が跳び箱を跳んだりマットの上で前転したり体操したりする中で、小学校にある楽器、木琴、鉄琴、大太鼓などを演奏する状況が映像に収められていました。特に印象的なのが、その小学校の校長先生や教頭先生が、パイプ椅子に座ってとてもマジメにその演奏を鑑賞していて、目の前の状況を唖然と眺めている様子が、かなり可笑しかった。
「ズーラシアの音楽」は、横浜市内の動物園で、動物たちの檻に入ったり動物に近づいたりして、野村さんと動物が即興で鍵盤ハーモニカを演奏するもの。これも動物たちの反応がおもしろくて、アリクイだったかな?鼻か手を伸ばして鍵盤に触れたりして、自発的に演奏しようとする様子が面白くて、しかもその音に野村さんが和音を付けたりして、おお、これは確かに音楽だなぁと感動したりしました。
ギャラリーNO-MAで見た映像は、何人かの老人が登場しますが、それぞれの老人と野村さんが一対一で映り、老人は野村さんに、昔の思い出や身の回りの世間話を話している。その老人の言葉に野村さんは鍵ハモの演奏で答えるような作品。私が見た印象では、老人の語りに対して野村さんは、語られる言葉の意味に反応して鍵ハモを演奏するのではなく、言葉の音そのものや言葉を発するカラダに呼応して演奏していたんだと思います。たしかその映像の最後に、寝たきりのおばあさんのベットの傍らで野村さんが演奏するシーンがあって、そのおばあさんは、話をすることができなかったのか、眠っていたんだったか、終始無言で、その傍らで野村さんが鍵ハモを演奏していて、それはもう、本当に美しいコラボレーションだった記憶があります。
野村さんにとって、子ども、障碍者、老人、動物など、いろんな相手と一緒に作曲したり演奏したりするのは、純粋に、新しい音楽を探すためだと言い切るだろうと思います。私は、その姿勢に共感するし、そこで生まれる音楽に、心を震わせる何かを感じます。
ところで明日の12月3日(水)、野村さんもメンバーの鍵ハモオーケストラのP-ブロッが、六本木のスーパーデラックスのライブに出演するそうです。開演は19:30、チャージは2,300円(ドリンク別)、メンバーは野村誠さん、鈴木潤さん、しばてつさん、林加奈さん。お時間のある方は、ぜひ。そして12月6日(土)の、顔と顔カフェにも、ぜひぜひ。

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