11.25.2008

発酵と腐敗の違い

先日、小暮先生のブログで、「芸術は発信しはしない。確かに発酵することは大切だけど、ね。」で、「発酵」について書いていただき、うれしかったです。
実は私も、以前、小暮先生が「なぜ、人びとは「発信」をことさらにいいだしたのだろうか」と書いていらっしゃったのを読んで、とても共鳴したんです。その一方で私自身が、いままで「発信」という言葉を無自覚に使っていたなぁと。それで最近、自分が実感できた言葉が「発酵」だったわけです。
先日、息子の保育園で、子どもたちのお昼ご飯を作ってくれるお母さんとお話したんです。そのお母さんは、とてもおいしい天然酵母パンを作っているんですが、元気のいい酵母がたくさん浮遊しているパン作りの室内に野菜を放置すると、腐敗する前に発酵するんだそうです。私は、発酵という作用は腐敗したあとの変化だと思っていたんですが、そうじゃないらしい。発酵と腐敗は同じ作用なんだけれども、付着する菌によって、人間にとって良いものに変化したり、悪いものに変化したりする。人間にとって良いものに変化するのが発酵で、悪いものに変化するのが腐敗なんだそうです。
それを聞いて、人間にとっての芸術と同じなんじゃないかと。それ以来、文化や芸術にとって「発酵する」という作用が、どのように起きるのかを毎日考えています。

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