9.10.2008

THEATER/TOPSが・・・

少し前のニュースで東京・新宿のTHEATER/TOPSの閉館のニュースを知りました。新宿コマ劇場とシアターアプル、ベニサンピットとベニサンスタジオ、そしてTHEATER/TOPSと、相次ぐ都内の有力な民間劇場の閉館。これは、少し社会的に、深刻に捉えるべきじゃないかと思うのです。
どの劇場も、おおむね共通する閉館の理由は、施設の老朽化によるものだと思います。問題は、老朽化した建物や設備の更新、改修、新設にかかる大きなコストに対して、経営母体としては投資が困難だ、というものだと思います(新宿コマとシアターアプルは、今後の方針が見えないのでなんとも言えませんが)。企業メセナにしても不動産事業にしても、営利企業としては間違ってはいないと思います。
しかし、日本の、少なくとも東京の演劇シーンにおいて、これらの相次ぐ閉館で失われる資源は、かなり大きいでしょう。TOPSやアプルでロングランをした劇団の劇作家、演出家、俳優が、その後、どれほどテレビや映画で活躍していることか。ベニサンで生まれた作品が、どれほど深く日本の演劇史に名を刻んだことか。
その幕を下ろす理由が「施設の老朽化」でいいんでしょうか。劇場よりも収益性の高い施設に建て替えれば、それで都市は魅力的になるんでしょうか。日本人には地デジやシネコンがあるから、劇場は必要ないんでしょうか。
例えば、いわゆる「興行ベース」ではない公演が主要なプログラムの民間劇場に対して、リノベーションに対する公的な支援とか、固定資産税の減免とか、文化政策として手を打てないものかなぁ。だって、TOPS、アプル、ベニサンは、民間企業が主体だけれども、その成果を享受してきたのは、狭い範囲のビジネス上の利害関係者ではないはずです。
その場所に劇場があるから、アーティストの交流、相互の影響や刺激、観客の回遊性、娯楽サービスや文化機関の集積などが生まれるわけです。それは言うまでもなく、都市における公共的な文化資源だと思うんです。
大阪でも数年前に相次いで民間劇場が閉鎖になり、いま、文化政策でも大きな岐路に立っています。そして東京は、これから一体どうなるのでしょうか。

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