8.01.2008

桜の花を見上げる黄金町の人々

シネマ・ジャック&ベティに顔を出すようになる前から、私は黄金町というまちの、不思議な魅力を感じていました。
知る人は知っていますが、かつて黄金町は、大岡川沿いにある小さな飲食店舗の集積エリアで、売買春が横行していました。夜、ひとりでは歩けなかったという話も聞きました。私がはじめて黄金町を歩いたとき、日本の都市とは思えないような光景に、おまえの来るところじゃない、と言われているような気がして、足早に通り過ぎた記憶があります。
ところが、たしか3年前の春でした。大岡川の沿道に桜並木があったので、満開の桜を眺めようと京急の黄金町駅を降りたとき、私は黄金町が大好きになりました。桜が見事だったからではなく、それを眺める人々が、本当に多様な人だったからです。
もちろん地域住民の方もいたでしょうが、東南アジア系の顔立ちの人、中国か韓国かの言葉を話す人も、目が青い人や金髪の人もいて、男も女も、子どもも大人も年寄りも、怪しい人も善良そうな人も、金持ちそうな人も貧しそうな人も、桜を見上げていました。みな陽気で、飲んだり食べたり歌ったり笑ったりしていました。
それはもう、ホントに幸せな光景でした。世界がこんな状況だったら、どんなに平和だろうかと思いました。桜の花は、誰に対しても平等に咲いてくれているんだなぁと思いました。
その翌年、大岡川の沿道が、少し整備されました。歩道が拡幅されて、鬱蒼とした桜の枝が間引かれたのか、少し見通しが広く、明るくなったような気がしました。そして、満開の桜を見に再び歩いたところ、なんとなく前年と比べて、日本語以外の言葉を話す人が少なくなったような気がしました。気のせいかもしれませんが。
その小さな飲食店舗に、いま、若いアーティストやユニークなカフェをはじめる人が集まってきています。それはそれで、これから楽しみですが、国籍や言葉や年齢が違う人たちが、満開の桜を見上げていたあの風景は、徐々に消えてしまうのかなぁと思うと、せつない気持ちにもなります。

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