7.03.2008

アメリカでのレジ前の会話

買い物や飲食での接客マニュアルに違和感を感じ始めたのは、5年くらい前です。私は、アメリカでの1年間の研修に行く前で、半年くらい組織に属さずに一人暮らしをしていした。
研修前の準備やバイトはしていましたが、基本的に、部屋にこもってPCの前で仕事やメールをして、外出はコンビニでの買い物と外食だけの日が多かったのです。
気がつくと、「今日は一言も言葉を交わしていない」という日が珍しくなかったんです。人と接していないわけじゃない。コンビニやラーメン屋の店員とは顔を合わせている。なのに、一言も声を出していない。
その後、アメリカで1年間研修していたとき、およそ毎日、買い物に行くスーパーが劇場の近くにありました。そこのレジの店員さんは、必ず品物をバーコードリーダーに通しながら、「調子はどう?」みたいなことを、ガムを噛みながら聞いてくるんです。うん、調子いいよ、とか、今日はイマイチだねぇみたいな返事をすると、次は「ビニール袋か紙袋か、いる?」てなことを、ガムを噛みながら聞いてきます。あ、じゃあ紙で、とか返事すると、「どうも」と答えてくれる。それにこちらも、あぁどもども、と。
英語を話すのがとても苦手な私でも、レジの店員さんとのこの短い会話は、あ、私もこの街の市民の一人だということを、この店員さんは認めてくれているんだなぁと実感していたわけです。たった2往復半の短いやりとりで、誰でも同じように聞いて、しかもガム噛みながらですが、それでも、日本のマニュアルどおりの接客よりも、私は好きでした。

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