7.01.2008

寄付することの素朴な楽しみ

仕事では、芸術文化に関する調査や研究をしておりますが、日本での芸術活動を取り巻く経済的な基盤の脆弱さは切実に感じています。この課題解決の糸口として、たびたび寄付を促す制度について議論されます。
私は5年ほど前に、アメリカでの1年間の研修で、NPOによる劇場運営を勉強させてもらいました。よく言われるように、寄付に対する意識や文化的な土壌、それに税制上の優遇措置など、日本との違いは明らかでした。実際、日本に帰国して、じゃあアメリカを参考にしてやってみましょう、というわけには、まったくいきませんでした。
昨今、寄付税制は日本でも議論されていますが、変えていくには相当長い時間がかかると思います。しかし他方で、税制の議論と並行して、寄付に対する意識や文化的な土壌を変えることも必要じゃないのかなぁ、と最近思っています。
私がアメリカで研修した劇場でも、寄付金は収入全体の相当な割合を占めていました。また、寄付金収入額の大部分が、ほんの僅かな人数の地域の富豪による大口寄付であったことに驚きました。逆に言うと、大多数の寄付者は、ごくごく小口の寄付だったということです。
僅かな大口寄付者にとっては、税制上の優遇措置があることで、寄付することが節税対策としても有効な手段です。一方で、小口寄付者は、そうした優遇措置がインセンティブではないことは明らかです。では、何が小口寄付者のインセンティブかというと、おそらく、そういうお金の使い方が、素朴に楽しいんじゃないか、と思ったんです。自分のお金が世の中のために使われることのウキウキ感やワクワク感、自分を誉めたい気持ち、他人から感謝される喜び。
この「寄付することの素朴な楽しみ」は、寄付を受ける立場で考えるのではなく、寄付をする立場で考えなくては、と思い立って、私は本日、「自分基金」を設立することを決意しました。月初めでキリもいいし。思い切って1,000円、自分基金に寄付します。
おっ、1,000円、すんげえなぁ。俺って太っ腹だなぁ。何のために基金を使おっかなぁ。考えただけでもワクワクするなぁ。

-----------------
sent from W-ZERO3

0 件のコメント:

archive