5.15.2008

根を下ろすのと芽が育つのは、違うこと

植物にとって根を下ろすということは、芽が育つということとは違うことなんだと思います。「根無し草」という言葉がありますが、goo辞書によると、
(1)池などの水に浮いていて、根が地中に張っていない草。浮き草。
(2)「浮き草(2)」に同じ。[季]夏。
(3)しっかりしたよりどころをもたない物や事のたとえ。「—の生活」

とあります。芽が育っても、花が咲いても、実をつけたとしても、根が下りていない植物は存在するわけです。
地域文化や、アーティスト個人で「根を下ろす」ということも、「芽が育つ」ということとは違うことだと思うのです。「よりどころをもつ」ということができずに花を咲かせたり実をつける地域文化やアーティストは、外部環境の変化に弱いのではないかと。
分かりやすい事象としては、自治体の政策の変化が、地域文化に大きな影響を与えるということがあります。あるいは、助成金を獲得できるかどうかによって、アーティストの活動は不安定な状況になるということもあります。こうした問題は、芽や花や実といった目に見える部分ではなく、「根が下りていない」という、目に見えない部分に問題の「根幹」があると思うのです。
そういう意味で、最近、自治体あるいは自治体出資の文化財団によるアーティストの創造環境を支援やコミュニティプログラムへの助成、劇場による創造活動の支援プログラムなどは、根を下ろすための有効な手法だと言えるような気がします。

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少しずつ、文化環境も変わってきているようです。

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