4.05.2008

メディアと社会のあり方

4月4日の毎日jpによると、映画「靖国 YASUKUNI」の配給協力・宣伝会社が「5月初旬から東京、大阪など全国21カ所の映画館で順次公開する方針を明らかにした」ということです。
騒ぎを避けるために多くの上映館のは公表されていないのですが、4月5日のNIKKEI NETでは、「全国17都道府県の21の映画館が5月初旬から順次公開する」とあり「当初は今月12日以降に東京や大阪などの14館で上映開始予定」とあるので、当初よりも上映館の数が増えたことと、地方に広がったことが見受けられます。各種のwebで上映を表明している映画館の名前を見ると、ミニシアター、あるいはコミュニティシアター系の会場が多いようです。
先月、上映中止を決定した映画館を見ると、都市型のシネマコンプレックスが多かったように見受けました。4月2日の東京新聞|TOKYO Webに、上映を中止した銀座シネパトスを経営する「ヒューマックスシネマ」は「お客さんや近隣への迷惑もあり、通常の上映環境を維持できるとは思えない」というコメントがありました。また、映画関係者のコメントで「一連の報道などを受けて作品を選ぶ劇場の現場より、経営会社の意向が強く働いたように思える。内容どうこうという問題ではないのではないか」とありました。
4月4日の信濃毎日新聞[信毎web]に、上映を決めた長野県松本市のNPO法人コミュニティシネマ松本CINEMAセレクトの理事長は「映画は見てもらって完成するもの」「交流のある全国のミニシアターも作品を提供するのが使命」「大切なのは観客が映画をどう受け止めるかだ」というコメントが掲載されています。
使命を示したミニシアターやコミュニティシアターと、経営的な判断をしたシネマコンプレックス。今回の問題で、多様な表現や多様な価値観が共存できる社会のあり方、メディアのあり方について考えさせてくれました。
中国政府がチベットの報道を規制したり海外での報道を非難したりすることと、映画「靖国」の上映をめぐる日本の騒動は、ある面では鏡のようでもあると思いました。映画「靖国」の上映に圧力をかけようとする人々は、チベットに対する中国政府の圧力を、どのように見ているのか、聞いてみたいような、みたくないような…。

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