鳥の劇場から、「劇団『鳥の劇場』観客アンケート調査報告」という冊子が送られてきました。報告書をまとめたのは、鳥取大学地域学部附属芸術文化センターの五島朋子さん(以前にお会いしてからずいぶん時間が経ってしまいました。ご活躍を嬉しく思っています)。非常に行き届いた調査で、いくつも興味深い調査結果が出ています。
まず、観劇の年齢層。もっとも多い割合は50代(25%)とのことです。もっとも少ない割合が10代(4%)ですが、20代、30代、40代が2割前後なので、おおむね、20代以上は突出した年齢層はない、という見方ができると思います。日本の大都市での現代演劇の年齢層が10代から20代に突出していると考えられるので、かなり異なる特徴だと思います。
また観劇の同伴者の有無について、連れだって観劇に来ている人が7割強を占める、という調査結果もあります。1人で観劇に来た人の割合は27%で、夫婦で来た人は21%、以下「近所の友人と」「親子で」「恋人と」といった回答が多い。これも、大都市での現代演劇は、1人で観劇する割合が多いと考えられるので、違いが表れています。
この年齢層と同伴者の結果は、日本における大都市の傾向とはかなり違うのですが、私の実感からすると、欧米の傾向に近いと感じます。別の言い方をすると、日本の大都市では、若い世代の消費意欲が現代演劇のシーンを形成しているように感じるのですが、鳥の劇場ではそうではない、という見方ができると思います。
もう一つの特徴が、「今後劇場に期待すること」という質問で最も多い回答が「質の高い演劇作品を継続的につくり、全国レベルの劇団として活躍する」という答えが61%だったことです。これに対して「分かりやすく楽しいエンターテイメント性の高い作品を上演し、県内外から大勢の観客を動員する」というのは17%と、かなり開きがあります。この結果は、地方での劇場のあり方を考える上で、少なくとも私が持っていた先入観を打ち破るものでした。
ほかにもいっぱい興味深い結果があるのですが、とにかく、こうした調査を地域の大学と劇場が連携して行い、広く地域内外に発信するということ自体が、公共劇場、あるいは公共のアートセンターのモデルとして高く評価されるべきだと思います。
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