3.18.2008

びわ湖ホールの署名数を、どう読むか

mixiのコミュニティ「アートマネジメント」に投稿があった「びわ湖ホールを応援する会」のトピックに、署名活動の総数のお知らせが掲載されました。3月16日18時現在で、計26,254名 。県内は8,452名、県外から17,802名という内訳だったそうです。
この数字、一言で多い、少ないは言うことができませんが、現在のびわ湖ホールの特徴ははっきり出ていると思います。67.8%、およそ3人に2人が県外の方による署名ということです。
この事実は、当たり前ですが「県民の支持が少ない」というネガティブな見方と、「県外からの支持が高い」というポジティブな見方に分かれるでしょう。私としては、びわ湖ホールには「県民の支持が少ない」という事実を受け止めて、これからの運営方針や事業プログラムに活かしてほしいと思う一方で、滋賀県議会に対しては「県外からの支持が高い」ということを、より誇りに感じていただきたいと思うのです。滋賀県内に、これほど県外から支持を集めている文化資源がほかにあるかを考えても、なかなか思い浮かばないのです。以前にも書きましたが、滋賀県は「地域ブランド」という観点をもう少し意識すべきだと思いますし、そのためにびわ湖ホールという文化資源を有効に活用してほしいと思っています。
総じて見れば、一自治体の文化をテーマにした署名活動で、これだけの数が集まったことは、ちょっと画期的なことかもしれないなぁとも思いました。私が知っている事例では、文部科学省大臣宛に提出された図画工作科の授業時数を増やすための署名運動「がんばれ!図工の時間!! フォーラム」では、30,235名(平成19年3月31日現在)。先日このブログにも書いた、鎌倉時代の仏師、運慶の作とみられる「木造大日如来座像」の国外流出を阻止するため国に購入を求める署名では、12,826人。これらの署名活動は、その当事者のあり方、関心を及ぼす範囲、署名活動の期間は違いますが、相対的に見て今回のびわ湖ホールの署名活動は、少ない数ではないと思いました。
ただ、もう2つ例を挙げたいと思います。同じ滋賀県の豊郷町という小さな町で、1937年にヴォーリズが設計した豊郷小学校校舎の解体を決めた町長に対する解職(リコール)を求めた署名は、実際に町長を失職に追い込みまいた。そして、もう1つの例は、新幹線新駅の栗東市の駅舎負担の中止を求める署名活動で、2004年2月に栗東市に提出された18,062の署名は、署名の9割が栗東市の住民だったとのことで、実際に新駅の建設は凍結になったわけです。
つまり、署名活動がダイレクトに政治に影響を及ぼすためには、その問題の当事者である地域の有権者の支持を集める必要があるということだと思いました。

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