11.01.2011

「人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」

10月31日付のロイター「パレスチナがユネスコに正式加盟、米国は分担金の拠出停止」から。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は31日、パレスチナ自治政府の正式加盟の是非を問う投票を行い、賛成多数で可決した。これを受けて、米国はユネスコへの分担金拠出を停止する方針を明らかにした。
同日のユネスコ総会で行われた採決では、米国、ドイツ、カナダなどが反対票を投じる中、賛成多数で正式加盟が可決された。アッバス議長が国連への加盟を申請した9月以降、パレスチナが国連機関で正式加盟を果たしたのは、ユネスコが初めて。
この採決を受けて、米国務省のヌランド報道官は記者団に、「遺憾かつ時期尚早で、包括的で公正、恒久的な中東和平という共通目標を揺るがす」と非難し、米国が11月に予定していた6000万ドル(約47億円)の支払いを行わない方針を示した。
米国の分担金はユネスコ予算の22%に当たり、拠出停止はユネスコの活動に大きな影響を与えるとみられる。
ユネスコ憲章の前文には、こう書いてあります。
戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代わりに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。政府の政治的及び経済的取極のみに基づく平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
誰のための「人の心の中の平和のとりで」を築くのか。誰が民主主義の原理を否認しているのか。誰が精神的連帯を壊そうとしているのか。

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