2.03.2011

「鑑定」という言葉が示すこと

アーツカウンシルに関するニュースで「鑑定」という言葉が出てきたことに、私は違和感を感じたのですが、その点をしつこく考えると、従来の国の芸術文化に対する支援の考え方を示しているような気もします。
つまり私がイメージする「鑑定」は、作品=商品が既に存在していて、その市場価値を判定するもので、流通や消費の段階に必要な役割だと思うのです。たしかに、文化庁や芸術文化振興基金の助成プログラムは「創造支援」と書かれていても、仕組みのあり方としては流通や消費の段階(公演や展示)に対する支援です。なので、「鑑定」という言葉は、従来の国の芸術文化支援策の考え方に根ざしていて、変化していない、という見方もできます。
海外のアーツカウンシルや、日本でも例えば民間のセゾン文化財団では、プログラムオフィサーと呼ばれる専門職の方がいますが、それは「鑑定」とは違うと思います。つまりプログラムオフィサーは、作品の創造を支援する、あるいは創造環境を整備するわけです。実際、助成プログラムもそのような制度設計になっています。
私としては、国に過度に期待はしませんから、民間や地方からアーツカウンシルを立ち上げる動きに、ぜひ期待したいと思います。

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