10.15.2010

家を持ち上げた (3)

「ほしたら、いきまーす、せーのー!」ぬおおおー、お、お、お、動いた、上がった、今度は完璧に浮いた!たぶん10センチか15センチは上がってる!
この感触、なんとも言えん・・・自分で持ち上げている実感と、自分以外のみんなの力で持ち上がっている感触と。担ぎ棒の重みは確実に右肩にかかっているものの、自分の足腰で支えている実感だけじゃなくて、みんなが担いでいる担ぎ棒に、自分がぶらさがっているような感じもする。俺は家を担いでいるのか、それとも家にぶらさがってるのか。それだけじゃなくて、家が地面から浮いていると同時に、自分の足も地面から浮いているような感じさえする・・・というのは、いま、思い返して言葉にしているだけで、その持ち上げた数秒間は、まったく、なんとも言えんかった。
周囲のギャラリーから大きな歓声と拍手。「はーい、ゆっくりおろしまーす、1、2、3」担ぎ棒をゆっくり降ろす。ヘルメットをかぶった200人も驚き、歓声、拍手。次々に見知らぬ人たちと握手、抱擁、ハイタッチ・・・

・・・うーん、あれはいったい、なんやったんやろうなぁ。

「この家、持ち上げます」と書かれたウェブサイトを見て、根拠もなく「これは行かなアカン」と思い、現場に駆けつけて、ヨソモノでワカモノでバカモノの指示に従って、見知らぬ人と、家を持ち上げた。それだけっちゃあそれだけの話なんですが、何か、大きな意味がそこにはありそうな気がするんですね。
その意味は時間をかけて考えることにしますが、いま確実に言えるのは、私にとって「北本」という地名は、家を持ち上げた感触とともに、一生、記憶に残るということですね。それはもしかしたら、瀬戸内とか、愛知とか、越後妻有とか、全国各地のアートフェスティバルに行ったとしても、一生、記憶に残るかどうかは分からない。行ってないから分からんけど。でも、北本みたいに「これは行かなアカン」とは思わない。北本は、「これは行かなアカン」と思えたし、一生記憶に残るという確信がある。

そんなわけで、企画したORERAのみなさん、北本ビタミンの主催者のみなさん、ありがとうございました。
どうでもいいけど、持ち上がったあの家は、それでも「不動産」なんですかね?「固定資産税」はかかるのかな?

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