5.25.2010

「生物の多様性に関する条約」を読んでみよう

宮崎の口蹄疫のニュースを見ると、現地で畜産業を営む方々の悲痛や不安を、想像することさえも難しいです。ワクチンを接種される豚の鳴き声が、今まで聞いたこともないような声だった、という養豚場の経営者のコメントを読んで、私たちは、処分される家畜の数よりも、その処分される家畜の鳴き声に耳を傾けて、牛や豚と、その飼育する人々の痛みを共有すべきじゃないだろうか、とも思います。
その一方で思うことは、ここまで感染が拡大した要因です。メディアは政府の対応の遅ればかりを露出させていますが、実はもっと根深い問題があるんじゃないか。経済的な効率を優先させた食肉供給のための大規模な集約畜産と、口蹄疫、BSE、鳥インフルエンザといった新型ウィルスの発生や感染との因果関係について、どうして報じられないんだろうか(それを報じることができないのが、マスメディアの闇なのかもしれないけど・・・)。
私は生物学を知る人間ではないけれども、持続可能な人間社会にとって生物多様性が必要不可欠であることは、間違いないと思います。家畜にしても人間にしても、多様性のない環境では、身体的、精神的な健康を維持できないはず。実際、社会に多様性が失われて、社会的弱者の居場所が失われ、年間3万人を越える自死が存在していることは、生物多様性の見地からも説明ができるんじゃないか、と思うんですが。
私は「生物多様性」と「文化多様性」は同じことを意味していると思います。国連の「生物の多様性に関する条約」の前文を、試しに「生物」という文言を「文化」に置き換えて読んでみて下さい。パーフェクトに意味が通じるから。

2 件のコメント:

endou さんのコメント...

余談ですが、昔父(既に故人)と話したことがあります。
 既に80年代から、アフリカなどでの食糧問題が話題になっていました。
 つぎの仮説に対する父の反論です。
 即ち「鶏肉は豚肉の2分の1の穀物で生産出来、豚肉は牛肉の2分の1で出来る。つまり鶏肉が一番生産効率がよい。よって、鶏肉が食糧問題的にも環境的にもよい」と・・
 元酪農家の父(実は酪農はすぐ辞め中学校の数学の教員になったのですが)は「その議論は単純に過ぎるだろぅ~鶏は人間様の食べるものと競合しているが、牛や羊は元々は草食動物で人間の食料に適さない自生(自生にきわめて近い牧草など)植物を食料に変えるという生産性があり、さらに自然界では生産が難しいような生産性や栄養価の高い野菜・果物の肥料も生産するから、そんなに単純ではない。寧ろ食糧問題から言えば、でんぷん質が多く人間の主食となっている穀物が、家畜やその他の用途に大量に使われるようになると問題が発生する。動植物など自然を利用した食料生産、つまり農業は、多様性が必要だ」・・・と。
 私「・・・なるほど」。

で、その多様性を作り出すはずが、同種のものづくり(つまり安全パイとしての売れ筋商品)に走っている場合も多いのではないかと言う点で、本エントリのご趣旨である多様性に賛同いたします。
何せわれら人類は、安全で食料豊富なジャングルから追い出された“弱いサル”が進化したのですから・・・

大澤寅雄 Torao Ohsawa さんのコメント...

endouさん、コメントありがとうございます。
とても感銘を受けました。農業には多様性が必要であることを分かりやすく説得力をもって説明できるエピソードだと思います。
「人類は、安全で食料豊富なジャングルから追い出された“弱いサル”が進化した」という言葉も、非常に印象深いです。ここから考えるべきことがたくさんあると思いました。ホントにありがとうございます。

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