12.17.2009

文化施設をめぐる2つのニュース

たまたま見つけた今日の2つのニュースですが、地方自治体の文化政策を考える上で、対照的でなかなか面白いです。
まずは、12月16日付のYOMIURI ONLINEより「ワッハ上方 結論持ち越し 橋下知事『現地案の入場者数精査を』」から引用させていただきます。
大阪・ミナミの大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)の移転問題で、府は16日、庁内の戦略本部会議を開いた。担当幹部は、引っ越し費用がかかることなどを理由に現地存続案を推したが、橋下徹知事は「入場者数の達成目標をしっかり見定める必要がある」などと主張してまとまらず、結論を25日の次回会議に持ち越した。
同館を巡っては、橋下知事が7月、現行で年間約4億円の負担額が4分の1以下に圧縮でき、年間約5万7000人にとどまる入場者の大幅アップにつながるとして、通天閣への移転方針を決定した。
(中略)
一方、府が掲げる「入場者目標50万人」の根拠が不明確との意見も出され、橋下知事は「運営費が安くても、入場者が増えなければ意味がない。目標達成ができなければ閉館する必死さがないといけない」などと発言。入場者目標などをさらに精査することになった。
さて、もう一つの記事は、12月16日付けの毎日.jpより「ニュースUP:盛況、兵庫県立芸術文化センター」から引用させていただきます。
阪神大震災(95年1月)から10年たった05年10月、「芸術の力で復興を」とオープンした兵庫県立芸術文化センター(西宮市)の公演入場者が4年で200万人を超えた。芸術事業のノウハウを持たない自治体が運営する劇場が成功を収めている理由は何か。
(中略)
補助金に頼らない経営、専門家の登用、地域密着型のサービス。これらが「震災復興のシンボル」を成長させた要因だ。会員は6万人以上に増え、音楽の魅力を広げた功績は大きい。公立の文化施設は赤字運営が多く、「ハコモノ行政」と冷ややかに受け止められる。そういう「貸館」から脱皮しようと各地から自治体の視察が相次いでいるのもうなずける。
センターの建設計画は震災で中断した。しかし、ボランティアによる演劇やコンサートが被災者を勇気づけ、計画再開に導いた。それがセンターの原点であることは忘れてはいけない。

大阪府と兵庫県という隣接した自治体の文化施設をめぐる問題。一方は大衆芸能、もう一方は舞台芸術。一方は存続の危機が伝えられ、一方は盛況が伝えられています。
何が違うのかをよく読むと、一方は経済効率や入場者数しか語られておらず、人々の支持がよく見えないけれども、もう一方は、経済効率や入場者数の話だけではなく「なぜ、それが必要なのか」が語られており、人々から支持を得ている、ということだと思います。

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