7.17.2009

「情操教育」と「ペット」と「芸術」

文化政策のことを調べていると、ときどき、「芸術は、子どもたちの情操教育に役に立つ」というような文章を目にします。いままで、何度も目にしてきて何となく分かったような分からないような気がしていたんですが、改めて、wikipediaで「情操教育」って何だろうと思って調べました。
情操教育(じょうそうきょういく)とは、暗記偏重の知識の教育、数学、理科、社会に対して、感情や情緒を育み、創造的で、個性的なこころの働きを豊かにするための教育、道徳的な意識や価値観を養うための教育で、小中学校の教科では、特に道徳、図工、音楽、保健体育などを指していわれるものである。また、国語教育も、文学作品の鑑賞などにおいては、情操教育の性格を持つ。総合学習での福祉体験や、ボランティア、地域社会の中での勤労体験学習も、この一環として理解される。
私としては「感情や情緒を育み、創造的で、個性的なこころの働きを豊かにするための教育」と、「道徳的な意識や価値観を養うための教育」という、それぞれ大事なことではあるなぁと思います。
ただ、往々にして「道徳的な意識や価値観を養うため」に重きをおきたがる人がいたり、そのためには「個性的なこころの働き」なんて、むしろ邪魔に思う人も、きっといるでしょう。なので「情操教育」という言葉の中に「芸術」を位置づけるのは、「しつけ」の道具にされる可能性も否定できないなぁと思ったりします。

ところで、「情操教育」という言葉でGoogleで検索すると、なぜか「ペット」というキーワードがたくさん出てくる。どうやらペットを飼うことが子どもの情操教育に役に立つ、というサイトが、どっさりヒットするわけです。例えば、そのトップにヒットしたサイトを見ると「ペットは飼い主の鏡です」というタイトル。「ここでは、ペット飼育が子どもの情操教育に与える、良い点、また気をつけなければならない点は何かということを少し考えてみます」など、いろいろと丁寧に書いてあります。
ふと、このサイトの「ペット」や「動物」という言葉を「芸術家」に置き換えて読むと、すっごく笑えることを発見しました。
「ここでは、芸術家飼育が子どもの情操教育に与える、良い点、また気をつけなければならない点は何かということを少し考えてみます」
「芸術家は言うまでもなく、生きている命であり、おもちゃやテレビゲームとはまるで違うものです。」
「子供は、芸術家飼育を通じて、
 ・自分はひとりで生きているわけではない
 ・自分は他の誰かとのつながりの中で生きている
 ・自分の行動が他の存在に影響する
 ・自分が働きかけることによって、他の存在の幸福に関わることができる
 ・自分は誰かに必要とされている
  という体験をすることができます。」
「芸術家を飼い始め、飼い主として最低限しなければいけないことは、
 1.しっかりと世話をして、芸術家を健康に、幸せに暮らさせる
 2.芸術家を飼うことで、社会の周りの人間に迷惑をかけない
 ということです。」
・・・などなど、案外、まとを得たことが書かれていることに気がついたりします。

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