7.29.2009

文化政策面から見た民主党のマニフェストの考察

民主党のマニフェストが発表されました。
「ムダづかいの恐れ」として「メディア芸術総合センター建設(国営マンガ喫茶)」という文字が目に入る一方で、具体的な政策各論の中には「文化」という文字が一語も入っていませんでした。
また、企業メセナ協議会の公開アンケートで民主党の回答を読むと、「国民一人当たりの文化予算増額」についての考えでは他の政党が増額の姿勢を明確にしているのに、民主党だけは、「現在の政府予算の内容を精査・評価し、諸外国の状況なども参考にしながら今後検討すべき」と、増額の姿勢が見られませんでした。
その一方で民主党のマニフェストを詳細に読むと、こういう項目がありました。
27.霞が関を解体・再編し、地域主権を確立する
【政策目的】
○中央政府は国レベルの仕事に専念し、国と地方自治体の関係を、上下・主従の関係から対等・協力の関係へ改める。地方政府が地域の実情にあった行政サービスを提供できるようにする。
【具体策】
○国から地方への「ひもつき補助金」を廃止し、基本的に地方が自由に使える「一括交付金」として交付する。義務教育・社会保障の必要額は確保する。
○「一括交付金」化により、効率的に財源を活用できるようになるとともに補助金申請が不要になるため、補助金に関わる経費と人件費を削減する。

ここの部分。この文脈で、もしかしたら国の文化行政を地方主権に再編するという考え方は、あるのかもしれないなぁと思いました。端的に言うと、地方の文化政策は、霞ヶ関の文化庁が主導するのではなく、それぞれの地方に委ねると。なので、例えば文化庁の地域文化振興施策に関する予算は、今のような細目の助成事業に分けずに、地方公共団体に対して「地域文化振興交付金」を一括して交付する、というような再編も、アリかもしれない。
ただ、地方主権を謳うのは、結果的に地方によって格差を生むということも考えられるわけで、もし上記のような再編があれば、それぞれの地方の文化政策そのものが問われることになるわけです。アートNPOとしては、地方議会や地方行政に対する政策立案能力を持てるかどうかが、大きな課題になるでしょうね。

1 件のコメント:

tahahahi さんのコメント...

そうなってほしいものです・・・
確かに地域間の格差はうまれるでしょうが、今の首都圏の突出した格差に比べれば、誤差と呼べる範囲だろうと思います。

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