1.13.2009

温泉が公民館

この連休に、大分県の別府に行ってきました。アートNPOリンクの樋口くんの指令で、BEPPU PROJECTというアートNPOの取材でした。BEPPU PROJECTについてはアートNPOデータバンク2008に原稿を書くので、ここでは別の話を。
言うまでもなく別府といえば、温泉。どこに行っても温泉が湧いています。街を歩けば、観光客向けの温泉だけでなく、地元の人々が日常的に使う公衆浴場がいくつもあります。
以下の写真の海門寺温泉も、中心市街地にある公衆浴場の一つ。古めかしい木枠のガラス扉を開けて暖簾をくぐると、「いらっしゃい。よかったねぇ、今すいてるからゆっくりお入んなさい」と窓口のおばさん。男湯のドアを開けると脱衣所で、湯船は地下レベルにあるようで、脱衣所と湯船は壁で仕切られていません。湯気の中で服を脱ぎ、階段を下りると湯船があるのです。湯船は一つ。天井が高くて気持ちいい。壁には、温泉に入るマナーについて、日本語だけじゃなく、英語、中国語、ハングルでも書いてあります。
風呂から上がって窓口のおばさんに、この建物はいつ建てられたんですか、と聞くと、「えー、いつからだったんかねぇ・・・」と、ゴソゴソと冊子を見せてくれました。昭和36年の改築らしい。ふと見ると、2階に上がる階段があることに気がつきました。2階は何ですか?と聞くと、「公民館なんよ」。え?温泉の2階が公民館?見せてもらいました。階段を上がると、たぶん30畳くらいの畳敷きの大広間があって、小学校の講堂のような舞台もある。畳はかなり擦り切れているけれども、とても素敵な空間。
これからヨガ教室で利用するというご近所のおばさんが、畳に掃除機をかけているところでした。私が、素敵な公民館ですねぇ、というと、おばさんは笑いながら「そうかねえ、こんなに古くなってしもうて、ワタシらには価値は分からんけど、ヨソから来た人には価値が分かるんかもしれんねえ」という。「けど、今年で建て替えるらしいんよ。あちこち痛んどるし、畳も擦り切れとるし。去年は台風の時に雨漏りしてねぇ。ここの利用者で市にお願いしたんよ」。
私には、もったいない気がしたんですが、普段から利用されている地元の人が望むのであれば、建て替えは仕方ないかもしれません。でも、なんだろう、この温泉公民館の不思議な魅力は。うらやましいぞ、別府市民。

-----------------
sent from W-ZERO3

0 件のコメント:

archive