数年前から、芸術と農業は、とても似ていると思い始めて、焼き畑農業のことを少し知ることになって、ますます思いを強めました。多くの人は、芸術の産業分類を第3次産業と考えていると思うんですが、私は、第1次産業のような気がしています。
おそらく、芸術行為が、どこから始まって、どこで終わるのか、というイメージが違うのでしょう。芸術をサービス業と捉えていたときは、例えて言うと、種を植えてから花が咲く、あるいは実が成るというところまでが芸術行為で、その花や実を流通し、販売するプロセスがアートマネジメントと思っていたのです。しかし、畑を耕すこと、あるいは実が熟して朽ちて土に帰ること、その絶え間のない循環が、芸術行為にも不可欠であることが、見えてきました。その土壌が培われる循環こそが、豊かな文化環境なんだと思うようになりました。
品揃いが豊富なスーパーマーケットや、豪華なデパートも大事なんですが、畑があるからこそ食糧は供給できるわけです。種を植えて育てて実をつけるまでは、アーティストができること。実をパッケージに入れてお店に運んで消費者に販売するのは、アーツマネージャーができること。畑を耕し、豊かな土壌をつくるのは、誰だろう?誰も耕さない土地は、どんどん土が痩せていくんじゃないかと…
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